ラブレター
『一緒に歩いていこう』 (でこピン 38歳 ダンナへのラブレター)
手術後、全身麻酔から目がさめたとき最初に見えたものは、泣きそうな顔をして、私の手を握り締めていたダンナ。
病気自体は生命に関わるものでもなく、手術も難しいものでなく、順調に終わったというのに。
手術室から出てきた私の顔は、生命を感じさせないような色だったらしい。
このままずっと目が覚めないのではないかと思い、不安で、ずっと手を握り締めずにはいられなかった、と。
平凡ながらも、アップダウンのあったこれまでの私の人生。
燃え上がるような恋をしたこともあった。
それらを経て、私はダンナに出会い、ダンナを選んだ。
そして、私は穏やかな、でも堅くて強い絆をもつ愛もあることを知る。
なぜ、ダンナを選んだのかハッキリと言葉にするのは難しい。
言葉にしてしまうととても月並みになってしまう。
理屈ではなく、この人だという天啓のようなものを感じたから。
他の人にとってはどうかは知らないけれど、私にとっては一緒に暮らすことがとても自然に感じたから。
自分では言葉にできないくせに、ダンナには何度も尋ねてみて、困らせたね。
私は「ダンナが一生で一番の宝物で、ずっと一緒にいたい」と思う気持ち、ただひとつしか持っていない。
万事において不器用で世渡りも下手。家事が上手でもなく、稼ぐ活計(たつき)も、光る才能もない。
自分に自信がないから、「なぜ自分を選んでくれたのか、自分のことを好きか」と聞かずには、確かめずにはいられない。
「いろんな意味で、一緒にいると楽しいからさ」いつもダンナは笑って言ってたね。
二人の血を分け合った子を流産で失ったときも、一緒に涙を流して悲しんでくれた。
その涙こそが、どんな慰めの言葉よりも、励ましの言葉よりも、強く私を支えた。
いままた、私のお腹に子供を授かった。今度こそ、この子を無事に産み、いっしょに丈夫に育てようね。
これからも幾多のことが待ち受けているだろう。
楽しいこと、嬉しいこと、そしてたぶん苦しいこと、悲しいことも・・・。
「もし私が先立ってしまったら、どうする?」と尋ねたことがあったね。
今にも泣きそうな顔をして「毎日、思い出しては泣き暮らしていると思う」と言ってたね。
うん、そうだね。きっとダンナは泣き暮らしているね。ダンナはそういう人だから。
尋ねている私自身、ダンナに先立たれてしまったら、絶対に泣き暮らしていると思うから。
なにしろ、こうしてその時のことを想像するだけで涙が止まらないくらいなのだから。
それでも、私が先立ってしまっても、ダンナには泣き暮らしていて欲しくはない。
泣くことが必要な時期には、泣きたいだけ泣いていい。
でも、いつかは自分の幸せのために、一歩を踏み出して欲しい。
ダンナが幸せになるのに必要なら、私のことは忘れてもいいし、別のパートナーを見つけてもいい。
「ダンナと一緒に生きる」のが私の一番の願いで、「ダンナに幸せになってほしい」が私の二番目の願いだから。
今はまだ、ダンナよりも先立つ予感も、つもりもないけれど、私の願いとして、理解っていてね。
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コメント
素敵ですね。
私もこんな素敵な愛に溢れた人生を歩みたいです。
感動しました。
いつしか私にとって結婚は非現実的なものとなっていましたが、前向きに考えたくなりました。
理想に留めず前向きに相手を見つけるよう頑張ってみよ。
投稿: 音庵 | 2005年8月13日 (土) 午前 11時45分